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でじこん

 

 
鎌田 敏夫・原作『29歳からのクリスマス・再会』 鎌田 敏夫・原作『29歳からのクリスマス・再会』

コミック『29歳からのクリスマス・再会』は、1994年に放送されたドラマ『29歳のクリスマス』の10年後を描いたケータイ小説として2005年よりモバイル配信されている小説『29歳からのクリスマス・再会』(鎌田 敏夫 著)を原作とし、今回、20歳の新進気鋭のマンガ家 楠木 明(くすのき あき)によって描き下ろされる、共同テレビ オリジナルコミックです。

(株)オンワード樫山「23区」今回、新たな取り組みとしてコミック内の衣装の一部に(株)オンワード樫山「23区」の協力をいただいています。


共同テレビオリジナルデジタルコミック第1弾『恋愛サイン』シリーズとともに、クリスマスシーズンに向け、各モバイル電子書店やWebポータルサイトでの幅広い配信を行います。


鎌田 敏夫・原作、コミック『29歳からのクリスマス・再会』概要

配信 :

平成21年12月、各ケータイ電子書店、Webポータルサイトにて配信予定(全3話)

 

☆「フジBOOK」にて先行配信中!  [メニュー] ⇒[TV]⇒ [フジテレビ] ⇒ [フジBOOK]

価格 :

1話あたり50円(税別)。

原作 :

鎌田 敏夫(かまた としお) 『29歳からのクリスマス・再会』(共同テレビ オリジナル小説)

作画 :

楠木 明(くすのき あき) 1988年生まれ。文星芸術大学マンガ専攻3年在学中。

 
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  ☆コミック『29歳からのクリスマス・再会』 キャラクター イメージ画

矢吹 典子 / 今井 綾 / 今井 紗絵 / 木佐 裕之

 

【矢吹 典子(39)】


矢吹 典子
 

【今井 綾(39)】


今井 綾
 

【今井 紗絵(9)】


今井 紗絵
 

【木佐 裕之(39)】


木佐 裕之

■ケータイ小説 『29歳からのクリスマス・再会』

 

自慢じゃないが、この十年、男とクリスマスをしたことがない。
男がいなかった訳ではない。年に一度の馬鹿騒ぎを避けて、引きこもっていた訳でもない。ボーナス目当ての商魂が、街中をイルミネーションで飾りたてているだけだと、ひねくれていた訳でもない。 十年間、ちゃんとクリスマスをやってきたのだ。誰もやってない、大事な大事なクリスマスを。

「よろしくお願いします」
厨房の中にいる共同経営者の竹井さんに、典子は、頭を下げた。
「いいクリスマスを!」
竹井さんの声に、厨房にいた調理人たちが、手を上げて典子を送り出してくれる。全部で三十席ほどの小さなトラットリア。
典子は、店の隅にあるクリスマスツリーに灯をともした。開店前の店が、一気に華やかになる。テーブルクロスも、今日だけは淡いピンクにした。
もう一度、店内を見回して、表に出る。クリスマス・イブという、年一番のかきいれどきに店を空ける店長を、調理人たちは、どう思っているのだろう。
店の前で、紗絵が、竹井さんの飼い犬のラブラドールと遊んでいた。
「ダメよ、ミック、今日は、おしゃれをしてきてるんだから、くっついちゃ、ダメ」

大きな体一杯に嬉しさを表して、飛び掛かろうとするミックに、紗絵が言い聞かせている。ミックは、立ち上がると、紗絵よりも大きい。
イタリア製のジーンズに白いセーター、首の赤いマフラーが紗絵によく似合っている。セーターとマフラーは、典子が一緒に買いにいったのだ。紗絵も、嬉しそうに、いろんなパンツを試着していた。結局、紗絵が気に入ったジーンズにしたのだ。おしゃれに自己主張をする年になったのだと、典子は感慨無量だった。
「そのコート、素敵だね、典子パパ」
紗絵が、典子を見上げてくる。紗絵が、典子のことを、パパと呼ぶようになったのは、いつのことだろう。典子おばちゃんというから、おばちゃんはやめなさいと典子が言うと、子供なりに考えて、そう呼び出したのだ。呼ばれてみると、それしかないと思えるような、絶妙な呼び名。
「このコートを着るのは、今日が初めてなの」
「紗絵のジーンズと同じだね」
典子は、紗絵の手を握った。

ビルの屋上にある大きなボーリングのピンが見えてくる。経堂は道が入り組んでるから、迷ったときには、駅のそばのボーリングのピンまでもどって、そこで電話をしなさい。経堂に越してきたとき、紗絵に何度も言い聞かせたのだけれど、迷ったのは、典子の方だった。
紗絵と手をつないで歩きながら、あれから十年たったのだと思った。あっという間だったと、典子は思うのだが、紗絵は、九歳になっている。自分たちは変わらないと思っていても、子供は、時間の経過を見せつけてくれる。

彩と二人でチャンコを食べた、二十九歳のクリスマス。
あのとき、彩は、たった一度だけ、ふとした過ちのように関係してしまった男の子供を宿していた。男には恋人がいて、彩もそのことを知っていた。男は、何も知らずに恋人と一緒に郷里に帰っていった。彼のことを、彩は、一度も男として意識したことなんかなかったのだという。でも、彩は、そのとき、自分がどんなにその男のことを好きだったか気づかされてもいた。
彩は、父親がいなくても子供を産むと言い張った。典子は当然反対をした。

「男はいらないけどけど、子供は欲しい。まわりで、そんなこと言うやつは、いくらでもいるよ。でも、子供を作るって、そんなに甘いことじゃないんだよ。犬や猫を飼うのとは違うんだよ。子供って現実なの。いつまでも、小さく可愛いままでいるわけじゃないんだよ。どんどん大きくなって、私や彩みたいに、憎たらしい子供になりかねないんだよ。男の子だったら、父親が欲しい、そう思うことがある。誰も祝福してくれなきゃ、親戚だっていないんだよ。今の仕事だって、やめないといけなくなるじゃない。経済的にだって大変になるんだよ!」
「そんなこと分かってる。私は、今、子供の頃からの夢をつかんだの。世界で一番やさしい人の子供を産むこと。私は、その夢を放したくないの、絶対に」
「自分のエゴで子供を産むな! そんなに子供が産みたいのなら、あの女から、彼を奪ってきな!」
典子は、彩の頬を引っぱたいたのだ。でも、彩の決意は固かった。

「自分が勝手なことをするのに、彼を巻き込みたくないの。自分が幸福になるために、相手を不幸にしたくないの。私は産むの。それが、今、一番したいことだから。大きくなって、子供が文句を言ったら、あなたは、私が欲しくて欲しくて、産んだ子供だって言う。幸せで幸せで、産んだ子供だって言う。それが、お母さんの一番したかったことだって。私は、強いんだよ、典子。これから、もっともっと強くなるの」

彩の決意にほだされて、典子も、最後には、強いことを言っったのだ。
「そこまで腹を据えているんなら、産みな。おとっさんが必要になれば、私が、おとっさんになってあげる。親戚のおばさんが必要になったら、私が、おばさんになってあげる。ベビーシッターが必要になれば、私がベビーシッターになってあげる。経済的に困ったら、私が稼いできてあげる。一生そばにいてやるから、安心して産みな」
彩は、女の子を産んだ。
子供の名は、紗絵。名づけ親は、典子だった。

彩は強かった。ただし、子供を産むまでは。


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