プロのカメラマンを目指す一人の女性を追いました。〜前編〜

2013.02.18

田中雅美さん。彼女は今、プロのカメラマンになるために精進する毎日...。彼女がカメラマンになりたいと思ったのは、大きなカメラを担いで駆け回り、人が行けないような場所を撮る姿に憧れたから。その思いは今も強い。入社してからもうすぐ5年目に入る。

昨年社内のカメラマンテスト(自分で企画、撮影、編集し、一本の作品を作り上げる)に合格し、現在はプロのカメラマンとして現場に出るための研修を受けている。...どんな研修なのだろうか。A

①まずテーマをもらい、構成を組む。

例えば「東京都港区台場で猛毒を持った毒草が発見された...場合。」といった具合に課題が出される。そこからナレーションを含むすべての構成を組み立てる。

実際に現場でカメラをまわすときには構成は立てない。
ということは実際の現場が想定と違ってしまうと構成をし直さなければならないので、リサーチや見通しを立てる技量も必要になる。
「今はとにかく分かりやすく、伝わりやすく組めるように心がけています。」

②撮る。

撮る

インタビュー、インサートの雑感、実際の資料、再現シーンなどなどを撮るのだが、ただ撮るだけではない。
例えばナレーションに「人けのない」とあれば「より"人けのない"印象の映像」がいる。

360°自分の眼で見て、どう感じるか。
その中から情報としていらないものを引き算していく。出来るだけ多くの視聴者に共感してもらうことがベスト。

カメラの動かし始めから止めの位置、ズームアップしたほうがいいのか、広い景観のほうがいいのか、ズームのスピードはどのくらいか、...視聴者に情報を届ける最適の映像のために頭は常にフル回転。

ポイントは
・画だけで説明が出来るか
・画に【想い・感情】が入っているか
・状況を無駄なく的確に伝えられるか

③撮った素材をプロの編集マンに見てもらいアドバイスを受ける。

編集マンからのアドバイス

今回協力してくださった編集マンの後藤氏曰く「実際は限られた取材時間の中ですから、あまり多くはリクエストできないです」と、カメラマン達の状況も理解してくださっている。優しい言葉にじーんとしつつ、一層使える画を撮りたい気持ちが強くなる。

徹夜明けでヘトヘトな状態なのに快く協力してくださる後藤さんに感謝しつつ、疲れを労りつつ、しっかり質問。どういう画が使いやすく効果的か。


あとで後藤さんにお話しを聞くと「彼女の撮ったものを見ると、先輩のカメラワーク模倣しようとしている姿が伝わってくる。同時に自分なりに面白い画を考えて撮ろうとしていると思う。」と。アドバイスは「緩急をつけられるといいと思います。」とのこと。

④もらったアドバイス・経験を思い返し、よりよい方法をさがしていく。

研修を通し沢山の人に意見をもらう中で、彼女は気づいた。
プロのカメラマンとプロの編集マンからもらう答えが異なるケースがある。

例えば「事件現場からのリポートを締めくくる」とき
・カメラマンの先輩は【事件現場を広くズームアウトしながら終わる。】
・編集マンは【現場に夕日を加えて少し印象的に終わる。】

カメラマンからアドバイス

個々の個性の部分もあるが、見てるポイントが少し違うと感じるようになった。

イメージ的なものを撮るのは難しいと聞きますが、先入観にとらわれずに少しでも多く切り取ることって大事だなと思います。

また、経験からも気づくことがあった。
「過去に一度ディレクターをさせて頂く機会があって"取材させてもらってる"という意識が強まってから、今撮れるものは今撮らないと!という気持ちが強くなって、技術の見方も変わったと思います。」

カメラマンからアドバイス スクリーンショット 2013-02-18 12.04.26.png

インタビュー時の浅野カメラマン(写真左端)から。
「人が動いたしゃべった、だから顔に寄った、とすると、動いているので撮れているように思ってしまう。しかしそれを見たときに、伝えたいことを表現できているかというと出来ていない。
いま彼らが研修でやっているのは、[無機質なもの]例えば自然、景色、機械などを自分がどう表現し、カメラマンとしてどう切り取るか。それができるようになると、あらためて人を追いかけたときに見方が変わってくる。」
「そういった腕はどうやったら磨けるのですか?」
「エモーション、泣く・笑う・悲しむ・怒るをいっぱい経験していくと、それはどんどん蓄積して自ずと画に見えてくる。テクニックに溺れたらだめです。作為がみえるから興ざめしてしまう。いかに自分の感情を映像に載せるかです。」
ふとしたときに聞けるこういう話しも、しっかり吸収。大切な時間です。