創造職人Files
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失敗や恥ずかしさをプラスへ。
人を幸せにする番組を創る!
Vol.08 制作スタッフ 中川雅也篇
クリエイターを通して職種にフューチャーする“創造職人Files”。第八回は第2制作部の中川雅也。2023年に入社し1年足らずだがバラエティ番組の制作スタッフとして着実に力をつけ、現場での評価も上々。まだまだ発展途上の中川が見据える自分の未来とは。
怒られることを恐れない。積極的にぶつかっていく
2023年7月から『ぽかぽか』(フジテレビ系)(※1)の木曜日の制作スタッフを務めています。制作スタッフの仕事はディレクターが演出に集中できる環境を作ることだと思っています。例えば台本ができたら隅々にまで目を通し、「ここで必要なのはどんな衣装なのか、どんな小道具なのか」等を考え、ディレクターに言われる前に先回りして提案する。そして必ず確認を怠らないこと。番組でお店の紹介をする時にどこまで写真を使用していいか、情報を出していいか等、使用条件を確認せずに放送してしまってはトラブルになります。美術さんへセット等を発注する時も同じです。確認を怠ってしまったことで間違ったものが上がった場合、それをどうリカバリーするかディレクターが考えなければいけません。余計な心配や仕事を増やさないように制作スタッフが万全の体制を整えるのが役目だと思っています。…なんて言いながらまだまだできていないことも多くて怒られっぱなしなんですけどね。
それでも半年以上やってきて身に染みていることは、“失敗してしまった時にはすぐに報告する。そして代替案を出す”ということです。つい怒られることが怖くて隠したくなってしまいますが、そんなことをしても周りに迷惑がかかるだけです。自分がしてしまったことは包み隠さず報告し、その上で、“どうするのか” “何ができるのか”を全力で考える。そしてなぜ失敗してしまったのかを反省し二度と起こらないようにする。失敗に対して留まってしまうのではなく、代替案をどんどん出し、行動を起こす。積極的に解決に向かう姿勢がとても大切だと思っています。
イチ視聴者として番組を楽しめるようになった自分がいた
最近は前説といって観客の皆さんにオンエア中にどのタイミングで拍手をするか、声出しを行ってもらうか等を説明する役目を担っています。『ぽかぽか』は生放送なので、その場のリアクションがそのまま放送で流れてしまいます。だからこそ現場の温度感がとても重要で、スタジオの空気を温める意味でも前説で観客の皆さんを盛り上げておくことが大切な役目です。前説を任されたことは一つ自信になりました。最初はとても緊張しましたが最近は「今日は6分あるから、これとこれを入れていこう」等、尺を踏まえた前説ができるようになってきました。「今日はちょっと重めの雰囲気だな」と思ったらいつもより大きな声を出したり、笑いが起こるようなトークをしてみたり。本番中は観客の方に背を向けているのですが、ちょっと声出しが少ないなと思ったら、率先して笑い声を上げたりして。観客の方たちが遠慮なく声を出したり笑ったりできるように文字通り背中で語れるようにもなってきました(笑)。最初の頃は生放送というだけでもうテンパってしまって、とてもそんな余裕がなかった。今は観客の皆さんと一緒に爆笑している時もあって「あー自分も余裕が出てきたなあ」なんて感じることがあります。本当にまだまだなんですけど!
全力で走って帰って観る。そんな夢中になれる番組があった
子どもの頃からテレビのバラエティ番組が大好きで。特に中学生の頃、『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)(※2)が大好きで番組を“生”で観るために習い事からダッシュで帰っていました。翌日は学校で番組コーナーの「博士と助手〜細かすぎて伝わらないモノマネ選手権〜」の真似を友だちとし合って大爆笑して。本当に楽しかった!僕たちの世代はテレビ離れが進んでいるといわれたりもしますが、昭和の頃、テレビが最高の娯楽でみんなが同じ番組を見て話題にして楽しんでいた時のような経験をさせてもらいました。無我夢中になれるものがあるって幸せですよね。「テレビが好き」「テレビ番組を作る人間になりたい」その一心で制作会社に就職を希望して今、こうやって共テレで仕事ができていることが本当に幸せです。体力的にきつくても怒られても頑張れるのは、あの時、夢中になっていた自分がいるからだと思います。
ネガティブを笑いに昇華し人を幸せにする番組を創りたい
チーフさんが本当に細かいところまで気がつく方で、何を聞いても的確な答えが返ってきます。少しも気を抜いたり手を抜いたりしていないことが傍で見ていて分かります。自分も早くそうなりたいと思っています。バラエティ番組は、3年制作スタッフを経験したら4,5年でディレクターになるのが順当だと言われています。ということはあと3年足らず。バラエティを極めて一刻も早く自分の番組と呼べるものを作りたいと思っています。
バラエティには色々な種類があります。僕は、ふだん人が「失敗した」「恥ずかしい」「ムカつく」等と思ったりしたマイナスの出来事を笑いに昇華できるような番組が創りたいです。自分自身が恥ずかしいと思うことを隠してしまうところがあるのですが芸人さんは違いますよね。「あの時こんな失敗をしてさ」なんて言って見事に笑いに変えている。笑いに変わったらそれはもうマイナスではなくてプラスです。みんなをハッピーにさせているわけですから。そうしたら自分のマイナスが幸せな出来事として記憶される。そんな、人を幸せにする番組を創りたいと思っています。芸人のオードリーさんが大好きなので、お二人が冠の番組が企画できたら人生の大きな分岐点になると思います。その時を目指してバラエティを極め、企画作りに励みます!
※1 『ぽかぽか』(フジテレビ系)。毎週月曜日〜金曜日の11:50〜13:50生放送。MCは岩井勇気・澤部佑(ハライチ)、神田愛花。
※2 『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)。1997年6月26日から2018年3月22日まで毎週木曜日に放送されていたバラエティ番組。石橋貴明・木梨憲武(とんねるず)がメインMC。「博士と助手〜細かすぎて伝わらないモノマネ選手権〜」や「男気ジャンケン 大人買いの旅」等、大人気コーナーが多数生まれた。
中川雅也
制作センター 第2制作部
制作スタッフ
2023年入社。大学院では環境エネルギー工学を専攻したが、テレビ制作の夢を追って共同テレビへ入社。 現在は『ぽかぽか』(フジテレビ)を担当。
(2024年2月取材)