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制作と技術を繋ぐ架け橋になる

創造職人Files

Vol.03

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“撮る”だけじゃない。
制作と技術を繋ぐ架け橋になる

Vol.03  カメラマン田中雅美篇

クリエイターを通して職種にフューチャーする”創造職人Files”。
第三回は情報番組のロケ取材撮影担当の田中カメラマン。テクニカルディレクター、配信、デスク業務等もこなしながら、撮る楽しさや意義を追求しつつ自身の在り方を模索する田中カメラマンが見据える未来とは。

ディレクターの意図をしっかりと理解した上で自分の意見を持つ

情報番組やバラエティ等のロケ取材撮影を担当しています。業界ではこういった番組のことを通称“つくりもの”と言います。自分達で題材を見つけて企画し制作するから“つくりもの”。逆に事件・事故等は“発生もの”と言います。文字通り、発生したことを取材・撮影し番組にするからです。
情報番組やバラエティの撮影はディレクターが企画し作った台本に沿って行います。どういう意図でディレクターが台本を作ったのかを考え、現場を想像し画を組み立てます。私は必ず事前打ち合わせの時にディレクターに、台本の意図を聞き自分の意見も伝えるのですが、実際に撮影に行ってみると、ディレクターが考えていた画も私が描いていた画も撮れない、という事があります。しかし企画の意図や方向性をしっかりと理解していれば思ってもいなかったシチュエーションになったとしても問題なく撮影できます。書かれた文字だけを追って撮影するのではなく、しっかりと自分の中で意図を理解しイメージできているか否か。これはカメラマンにとってとても大切なことだと思います。

「カメラマンってかっこいい!」大学時代の体験がきっかけ

芸術学部出身で元々はドラマ等の制作に携わりたいと思っていました。学生時代に授業で実際の撮影現場を見学することがあったのですが、その時に監督がカメラマンと頻繁に打ち合わせをしてカメラマンの意見を受け入れていました。それを見て「カメラマンってかっこいいな」と興味を持ったのがきっかけで共テレに入社しました。
入社当時はカメラマン志望だったとしてもディレクター業務も経験できたので私も一年半~二年くらい、ディレクターを経験しました。“仕込み”と呼ばれるアポ取りや場所決め、ロケハン、構成作家さんとの打ち合わせ等、撮影当日までに様々な準備が必要なことを経験し、ロケに向かう姿勢や意識がそれまで以上に高まりました。カメラマンがジョインするロケ当日までに多くのスタッフの時間の積み重ねがあるんだという事を知っているだけで心持ちが大きく変わると思います。
ディレクターを経験したからこそ、今カメラマンとしてディレクターの意図を理解した上で自分の意見を持ち、より良い番組を創るための意見を交わすことができているのだと思います。

予想不可能な犬の動きが読めるようになってきた!

担当している『きょうのわんこ』は犬が主役です。犬は人間と違って動く前に準備がありません。突然、予想もつかない方向に動いたり、こちらが撮りたいと思っている動きをしてくれなかったりします。さらに知らない人がたくさん来るので怯えてしまったり、興奮状態がおさまらなかったり、なかなか思い通りにはいかないことが多いです。でもそこに面白みを感じます。当初は慣れなくて犬に振り回されてばかりでしたが、最近は「次にこの動作をするな」と、分かるようになってきました。だんだん犬のプロになりつつあります(笑)。
そんな中、『岩合光昭の世界ねこ歩き』のオファーを頂きました。小さい頃、獣医になりたかった程、動物が好きなので本当に楽しいです。

制作と技術の橋渡し役としてより良い番組創りに貢献していきたい

カメラマン以外に配信やデスク業務、そしてテクニカルディレクターという仕事をしています。テクニカルディレクターとは制作が「こんな番組を創りたい」と考えた時に、技術として、どんな機材と人材がどのくらい必要かということを考え調整をする役割です。大きな現場ではテクニカルディレクター業務だけの時もありますが、少人数の現場ではカメラマンを兼務する事もあります。元々、スタジオ撮影の時には必ずある役割なのですが、ロケの際にはいないことが多かった。しかしディレクターの意図が技術スタッフにしっかりと届いていないと感じる事もあり、やはり大規模なロケではテクニカルディレクターは必要だと若手の技術スタッフで話し合い、設けることを会社に提案しました。

カメラマンとしての仕事は大好きですが、その在り方は一つではありません。様々な経験を経て、私だからできることを増やし、これからも皆さんに楽しんでいただける番組創りに貢献していきたいです。

田中雅美

技術センター 制作技術部コンテンツ技術グループ SWCAM
カメラマン

2009年入社。映像取材部(当時)でアシスタントからスタートし、映像制作室(当時)で制作業務も経験。その後カメラマンとして独り立ちして10年目。これまでに『きょうのわんこ』『岩合光昭の世界ねこ歩き』『逃走中』『JAXAロケット打上げ配信』『ノンストップ! 飯尾和樹のワリカツ 〜おトクな割引生活〜』など数多くの番組を担当。
(2023年4月取材)