夢描く共テレ人
Special contents
Kyotele search
父として、カメラマンとして
育休がくれた新たな気づき

共テレで働く人々“共テレ人”の日常を紹介する“夢描く共テレ人”。第三回は一児の父として、共テレ社内では初となる出生児育児休業(産後パパ育休制度)(※1)を取得した技術センター 制作技術部 カメラマンの小野寺 駿。仕事とプライベートを両立させる日常とは?
背中を押してくれるような社内の空気感がある

― 産後パパ育児休業を取得するまでの簡単な経歴を教えてください。
小野寺:2016年4月の入社以降、ずっと制作技術部という技術チームに所属しています。職種は、カメラマン。ラグビー中継だと、スイッチャー(※2)を担当することもあります。育休を取ったのは、子どもが生まれた直後から。育休と有休を合わせて取得したので、実質、休業期間は1ヶ月半くらいです。
― 共テレ社内で産後パパ育休制度を利用したのは、小野寺さんが初めてだそうですね。いつか育休を取得して、積極的に育児に参加したいという想いが強くあったんですか?
小野寺:そうですね。自分の中でも考えていたし、世間的にも“男性も育休を取る時代”というような話題をよく目にしていて。僕はシフト制で働いているので、妻の妊娠がわかってからわりと早い段階で、スケジュールを組むシフターに「育休を取るかもしれない」という相談をしていました。仕事の引き継ぎはそんなに苦労しなかったです。
― 実際に育休を取得されて、周囲の反響はありましたか?
小野寺:どうでしょう、びっくりされたのかな。「おまえ、パパになるのか!」とは言われました(笑)。否定されることはまったくなく、社内にはパパ・ママの先輩も多いので「休みが取れるなら取ったほうがいいよ」と背中を押されたことがありがたかったです。自分の変化で言うと、復帰後、より仕事へのモチベーションや責任感が生まれました。子どものためにしっかり働こうって。あとは、家でできるメールの返信やデスクワークは家に持ち帰ることが多くなりましたね。

子どもを抱っこする時間が、一日のいちばん幸せな瞬間
― 最近は、どんなタイムスケジュールで生活していますか?
小野寺:仕事の現場によって日々変動がありますが、朝のレギュラー番組担当の日は大体8時までに出社、生放送が終わった後に少しデスクワークをして15時~16時くらいに帰路につくという流れが多いです。家に帰ってからは、大体19時ごろにご飯を食べて、20時ごろお風呂に。子どもを寝かしつけた後の22時以降は自由な時間です。つい仕事のためにテレビや動画を見てインプットしたくなりますが、これからはもっと家族間のコミュニケーションも増やさないと、と思っているんですよね。妻と面と向かってしっかり話したいという気持ちはあるんですけど、そのことすら伝えられずにいるのが現状です。
― 一日で一番好きな時間は?
小野寺:やっぱり子どもを抱っこしているときですね。かわいいです。体重がどんどん重くなってきて、日々成長を実感しています。毎日、子どもと飼っている犬に触れてから仕事に出かけることは唯一のルーティーンかもしれません。家を出るのが朝早いときは、起こさないようにそっと触っています(笑)。

現場も家庭も、チームだからこそ対話が大事
― 仕事をする上で、大切にしているのはどんなことですか?
小野寺:コミュニケーションをしっかり取ることです。カメラマンは一つの現場に何人もいるし、現場によって入れ替わるのも当たり前。さらに技術スタッフだけでも音声や照明、ビデオエンジニアとチームが分かれていて、具体的にどのように生放送・収録に臨むかという各セクションとの話し合いが不可欠なんです。
― コミュニケーションの中で、具体的に意識して行っていることは?
小野寺:まず、朝イチでしっかり挨拶をすることですね。学生時代に野球部で挨拶の大切さを強く教わって。社会人になってからもそのときの経験が染み付いています。今は後輩たちに「挨拶だけはしっかりするように」とよく言っています。
― 挨拶のおかげで、やりとりが円滑になったという実感はありますか?
小野寺:新人の頃は特に、「挨拶しているあいつか」という感じで、現場のスタッフに顔を覚えてもらいやすかったんじゃないかなと思います。ただ、コミュニケーションについては……いつまで経っても、難しさを感じますね。僕の言い方が悪いのかもしれませんが、言ったつもりのことが伝わっていないこともありますし。そんなときは厳しく後輩を注意することもありますが、基本的には「自分に悪いところがあったかも」と考えるようにしています。それは家庭内でも同じで。一方的に自分から話すことはせず、相手の話を聞くことを意識しています。相手にも必ず言い分がありますから。

撮影で大事なのは、“感じる”こと
― これからクリアしていきたい具体的な課題はありますか?
小野寺:先輩方の仕事を見ていると、自分はまだまだだなと思うことばかりです。例えば、バラエティー番組では“これから面白いことが起きそうだぞ”という嗅覚みたいなものをもっと研ぎ澄ましたいですね。
― 何かが起きてからカメラを向けるのではなく?
小野寺:それだと遅くて、大事なシーンを撮り逃してしまう可能性があるんです。だから、カメラを向けるより前に“感じる”ことが大事。もちろん、カメラは何台もありますし、このカメラでは全体の引き画を撮る、このカメラでは上手側にいるキャストの方を撮る、などそれぞれの大まかな役割は決まっていますが、その役割以外に何を撮るのか咄嗟に判断する場面が必ずあって。何が起きるかわからないのが面白いのですが、肝心のシーンが撮れていなかったら意味がないですから。

いつか大好きなスポーツの大規模な大会を撮影したい
― 仕事における今後の夢、展望というと?
小野寺:大きなスポーツの大会に携わりたいですね。日本で行われる国際大会は行ったことがありますが、海外で開催されるオリンピックやワールドカップの試合を撮ってみたい。報道以外の現場は、様々なジャンルの番組・現場を経験させてもらったと思うので、いつかは大好きなジャンルでもっともっと大きな仕事がしてみたいです。
― 小野寺さん自身がスポーツ経験者だからこその夢ですね。
小野寺:はい、選手の気持ちがわかるからこそ、撮影に生かせる部分も多いと思います。勝負に勝った側にも負けた側にも、それぞれのドラマがあるので、ココが熱い!今ココを撮るべき!という瞬間は逃さない自信があります。
― 夢を叶えるために、まずは仕事も家族もコミュニケーションをしっかり取って行かないと、ですね。
小野寺:本当にそうですね(笑)。子どもがもっと大きくなって、妻も仕事に復帰するようになったらまた生活が変化していくでしょうし。社内には仕事をしながら積極的に3人の子育てをしている先輩もいるんですよ。周囲の方にも相談しながらうまく仕事と子育てを両立して、カメラマンとしての自分の夢も実現したいと思っています。

※1 従業員が子どもの出生から8週間以内に、最大4週間まで取得できる育休制度。2回に分けて取得できる。8週以降から1歳までの「育児休業」とは異なる制度。
※2 複数のカメラ映像を切り替えることで、番組を組み立てる職種。音楽ライブやスポーツ、ニュースなど、映像制作や中継の現場で活躍する。
小野寺駿
技術センター 制作技術部 コンテンツ技術グループ カメラマン
2016年入社。『ノンストップ!』(フジテレビ)、『ぽかぽか』(フジテレビ)、『高見沢俊彦の美味しい音楽 美しいメシ』(BS朝日)、『BSフジ LIVE プライムニュース』(BSフジ)のほか、各種スポーツ中継、音楽ライブでのカメラマン業務等を担当。
(2025年2月取材)