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目指すは世界平和!

創造職人Files

Vol.05

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現実を頑張るためにドラマがある。
目指すは世界平和!

Vol.05  ドラマプロデューサー芳川 茜篇

クリエイターを通して職種にフューチャーする“創造職人Files”。第五回は第1制作部のドラマプロデューサー 芳川 茜。入社から2年間バラエティの現場を経験し28歳でドラマプロデューサーデビューを果たす。華麗なる経歴を持ちながら「まだまだ進化していきたい、世界平和のために!」と笑顔で語る芳川プロデューサーの想いとは。

ゼロからの企画物も原作物もそれぞれのやりがいと苦労がある

プロデューサーの仕事はとても幅広いと思います。企画や原作がある場合もありますが、ゼロから企画を立ち上げて脚本家、監督などのスタッフィング、キャスティングを行い、予算管理をしてクランクイン後は撮影や編集に立ち合い、PRや番宣の仕込みもします。

例えば『ゴシップ #彼女が知りたい本当の○○』(※1)はゼロから完全オリジナルで企画を立ち上げました。企画を考え出した当時、東京2020夏季オリンピックが何かと話題でネットニュースが世間を動かしていると感じました。そこから着想を得て、企画の骨子を立ち上げ、監督や脚本家と一話ごとに当時、話題になっていたニュース等の中から興味のあることを出し合って脚本を練り上げ、一話完結型の連続ドラマとして展開しました。

また、原作がある物の場合はまず原作者と向き合い、大事にしている作品のベースとなる部分を守りながらドラマとして面白くするためにストーリー展開や配役等、変更したほうがいい部分を変えていきます。例えば、漫画の場合はテンポが大切なので次から次へと個性的な人物が出てきたり、色んなイベントが起きたりするのですが、それを実際の人間が演じると感情のストロークがないので説得力がなくなってしまう。なのでドラマにする時は現実味を持たせながら漫画のテイストは尊重しつつ、きちんと一人の人間として存在しているように表現することが大切になります。『わたしのお嫁くん』(※2)は、強いキャラクター設定が面白かったのであえて漫画っぽさを残しましたが、やはり行き過ぎると視聴者の方に共感していただけなくなるのでその加減を大切にしました。

28歳。 「プロデューサーやっちゃう?」でデビュー

共テレの採用面接の時からずっとドラマの演出をやりたいと言い続けていた私を見て、当時の山田社長に「もっと世界を広げた方がいい」と言われ、ドラマ以外の世界を知るためにバラエティ配属になりました。そこで2年ほど仕事をしたのですが、先輩方が本当に優しくて素敵な方々ばかりで。私がドラマの仕事がしたいと思っているのを分かった上で、親身に指導してくださいました。バラエティの過酷な現場でぼろ雑巾のように働いていましたが、あの時の大変さがあるので今は何があっても平気なのかもしれません(笑)。それに「私にはドラマだけでなく何かあったらバラエティもある」と他の選択肢を持っていることで心に余裕も生まれたと思います。

バラエティからドラマの現場に移り、アシスタントプロデューサーとして3年ほど仕事をしていた頃、お世話になったNHKの方に「プロデューサーやっちゃう?」と声をかけていただきました。当時28歳でした。『デイジー・ラック』(※3)というアラサー女子の日常を描いたドラマで、佐々木希さんや夏菜さん、中川翔子さん等、キャストが同世代で毎回わいわいと楽しい現場でした。ただ私は初プロデューサーとしてついて行くのに必死で、アシスタントプロデューサーの時とは明らかに違う、向き合わなければいけないことの多さにただただ夢中で取り組みました。本当に皆さんに支えられ続けた、ありがたすぎる現場でした。

全体を俯瞰し、細部を見逃さず、前へ進める先導者となる

プロデューサーにとって大切なことと言われれば「誠意」に尽きると思います。ドラマ創りにはたくさんの人が関わっています。その一人ひとりに理由があり考えがあって各々の業務をしています。そのすべての想いを通したままパズルを完成させることはできないんですよね。しっかりと誠意をもって一人ひとりと向き合い、とことん話し合います。上手くいかない、通用しないことも多々あります。でも、「私にできることは誠意をもって向き合う事だけ」という心持で地道にやっていくしかないと思っています。全体を俯瞰で把握しながら、細かいところや大事な局面を見逃さずシュッと掴めるかどうか。そして前へ前へと推進する先導者となる。…なんて言って、そうできているかというとまだまだですが…毎日少しずつでも成長し、アップグレードできればと思っています。

恩師からの忘れられない電話が今の原動力

すごく嬉しかったことがありました。『彼女はキレイだった』(※4)のロケに向かう車の中で知らない番号から携帯に電話がかかってきたんです。出たら小学生時代の恩師でした。スタッフロールに私の名前があるのを見つけて実家に連絡して私の携帯にかけてきてくださいました。担任だった頃、私が「映画やドラマの仕事がしたい」と話をしていたことを覚えていて私だと確信して電話をしてくださり感想まで伝えてくれたんです。本当に感激しました。先生とは今も交流が続いています。

そんなサプライズを経て私はドラマ制作に関われることにますます幸せを感じています。日常って辛いことばかりじゃないですか。駅で人にぶつかられたり、仕事でクライアントに怒られたり。そういう毎日を頑張る人の日々の延長線上にドラマがあると嬉しいなと思います。現実と地続きでありたいというか… ドラマを見たことで世界を前向きに捉えられたりして。そうやって一人ひとりがハッピーになればきっと世界は平和になりますよね。私は世界平和のために、これからも良質なドラマを創り続けたいです(笑)。そしていつか映画にも挑戦できたらいいなと思います。

※1 『ゴシップ #彼女が知りたい本当の○○』
2022年1月6日(木)~3月17日(木)までフジテレビ系で放送。主演は黒木 華。
※2 『わたしのお嫁くん
2023年4月12日(水)~6月21日(水)までフジテレビ系で放送。主演は波瑠。
※3 『デイジー・ラック』
2018年4月20日~6月22日までNKK総合で放送。主演は佐々木 希。
「海野つなみ」による漫画作品。30歳を目前にしてそれぞれ人生の転機を迎えた幼なじみ4人の女の友情を描く。
※4 『彼女はキレイだった』
2021年7月6日(火)~9月14日(火)まで関西テレビ / フジテレビ系で放送。主演は中島 健人、小芝 風花。

芳川 茜

制作センター 第1制作部
ドラマプロデューサー

2013年入社。第2制作部でバラエティ・情報番組のアシスタントディレクターを経て、第1制作部に配属。これまでのプロデュース作品は、『デイジー・ラック』(NHK)、『ゴシップ』『わたしのお嫁くん』(フジテレビ)、『彼女はキレイだった』『ウソ婚』(カンテレ)など。
(2023年8月取材)