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ファインダーの先にある
数多の真実を切り撮る!

ドラマだらけな現場から

Vol.03

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国会から芸能スキャンダル
ファインダーの先にある
数多の真実を切り撮る!

現場には常にドラマが溢れてる!一分一秒を争う中継、真剣勝負のバラエティ収録、ドラマや映画撮影。そして、ドキュメンタリー。映像現場のリアルを伝える“ドラマだらけな現場から”企画。
 第3回は報道カメラマンとして【東京2020夏季オリンピック】の撮影や政治部で国会記者映放クラブ常駐、はたまた社会部で芸能スキャンダルを追う仕事もこなす高橋 晋。憧れのNBA選手を間近で撮影できたこと、政府専用機への搭乗、疑惑のあった芸能人を一日中隠し撮りしたこと等、様々な現場体験を赤裸々にお届けします。

競泳、池江璃花子選手の“その時”を固唾をのんで見守った

【東京2020夏季オリンピック】では報道枠の取材団としてカメラマンを務めた高橋。池江璃花子選手が白血病の闘病生活から復活しリレーを泳ぎ切った姿には、特別な想いを感じたという。

会場の空気を換えた伝説の選手の涙に感動

「幼少期水泳を習っていて、オリンピック選手のレベルで泳ぐということがどんなにハードなことなのか少しは分かります。白血病という苦しい病と闘い、その期間を経て、再度オリンピック選手に選ばれ見事に泳ぎ切ったあの姿には本当に感動しました。競泳女子400メートルメドレーリレー決勝を撮影したのですが、バタフライの第3泳者として池江選手が登場した時は、現場の雰囲気がガラリと変わって、みんなが固唾をのんで池江選手を見守っていました。泳ぎ切った後の池江選手の涙にも本当に感動しました。」

幼いころからバスケットボールをプレイしていた高橋にとってNBAドリームチームの試合を撮影できたことは【東京2020夏季オリンピック】期間の中の一番のクライマックスだった。

勇気を出して声をかけたものの、華麗にスルー!

「ドリームチームと呼ばれたアメリカの代表チームの決勝の試合を撮影しました。【東京2020夏季オリンピック】は無観客で行われたので、正直寂しい部分もありましたが、あの時は本当に興奮しましたね。「レンズ越しじゃなくて生で見たい!」って右目でカメラのファインダーを覗きながら、左目で観ていました(笑)。試合が終わった後に、ケビン・デュラント選手(※1)が星条旗を振りながら、すぐ目の前にやってきたんです。フジテレビの榎並大二郎アナウンサーとダメもとでコメントがもらえるか「ケビン・デュラント選手!」って声をかけました。結果、スルーされましたけどメチャクチャ興奮しました(笑)。決勝戦はバスケットボール日本代表の渡辺雄太選手や馬場雄大選手も観戦していましたね。たくさんの人が生で観たかったと思います。」

試合外のところではメディア関係者の間で一般人には知られざる面白い交流が行われていた。

なぜ、かき氷!?必死の交渉で手に入れたものは…

「各メディアでオリジナルのピンバッジを作るんです。例えばテレビ朝日さんだと“ドラえもん”をモチーフにしたもの。フジテレビはなぜか“かき氷”でした。それを局からカメラマンや記者に一人あたり7~8個もらえます。それでメディアの人間同士、欲しいものを見つけたら交換し合って、会場に入る許可証が入ったパスホルダーのストラップの部分につけるんです。「何、持ってる?」ってコミュニケーションをとって交換し合うのですが、“ドラえもん”は大人気でみんな交換したがっていましたが、“かき氷”は人気がなかった(笑)。なかなか交換してもらえなかったんですが、中国企業のアリババのピンバッジがもらえた時は嬉しかったです。」

一般人が知るずっと前に情報をキャッチ!朝から晩まで隠し撮り

国際的な大イベントであるオリンピックの撮影をするかと思えば、社会部の取材で芸能人や著名人を張り込んで、一日中隠し撮りする時もある。

ゴシップネタを誰にも言えない苦しみも…!

「近年、芸能人の薬物問題がたびたびあったかと思いますが、芸能人のプライベートなショットを撮影するために、フィルム付きの車に乗って一日中自宅前で待機する、なんてことも報道カメラマンの仕事の一つです。

まだ一般の人が知らない情報なので家族にも話せず、なかなか大変です。つい喋りたくなってしまいますから(笑)。」

政府専用機で極楽を味わった後、待っていたのは…!

高橋は2年近く国会の映放クラブにも所属していた。当時、森友問題の籠池氏の証人喚問や安倍総理の銃撃事件が発生し応援演説中だった岸田総理が急遽ヘリコプターで戻ってきて取材に応じた現場等を撮影した。

国会で移動は厳禁!?独特の撮影技術が要される

「フジテレビからは4人のカメラマンが記者クラブに所属していました。カメラマンの待機部屋は各局全員同室なので自然と仲良くなってコロナ禍前は週末呑みに行ったりもしていました。なにか事件があった時には出動しますが国会は基本的に土日祝日はお休みですからね。

国会撮影には独特のルールがあって、国会の中では動きながらの撮影はNGです。代表取材等は全局の代表がスチールも含めて「ここから撮りなさい」と指示を受けて、その場から動かずに撮ります。議員を追いかけながら撮っているように見えることもあると思いますが、それはカメラマン自身の立ち位置は変えずに動かずに議員の動きを右から左へ追っているだけなのです。テクニックがいるので慣れるまでは大変です。」

総理の海外訪問に同行し政府専用機(※2)に搭乗したこともあった。政府専用機への搭乗は国会担当の報道人にとって一つのステータスであり、憧れでもある。

政府専用機内で初めての○○体験!

「総理外遊に同行する時には事前に目的等を知る勉強会に参加します。先乗り班と言って、総理が現地に到着する前に入る班と、政府専用機に同乗して総理がタラップから降りてくるところから撮影する班に分かれます。専用機には3社搭乗でき、持ち回りで順番に搭乗することができるのですが、噂には聞いていましたがあれは最高の体験でした(笑)。政府専用機が出発する時には専用の搭乗口となる場所から入り、そのまま出入国手続き等は一切なく出発し、入国できます。機内は総理がいる場所はどうなっているか分かりませんが、他は全席ビジネスクラスレベルの座席で広々としていて快適です。映画を観たり美味しい食事を食べたりしてのんびりと過ごします。最高なのはお酒が飲み放題なんですよ(笑)。白州のウイスキーを初めて飲んで感激しました!また乗りたいですね(笑)。」

政府専用機に搭乗し極楽気分で到着したインドでは、想定外の大変な思いをし、苦しみも味わった。

日本メディアのカメラマンはたった一人!

「岸田総理がインドのモディ首相と接見するためにインドの迎賓館を訪れた時には私が撮影担当だったのですが、日本メディアは1社しか入れないと言われてプレッシャーが半端なかったです。一人で伝送機器をしょって私が撮影している映像はライブで日本の各メディアに送られました。首相がモディ首相と会談している時以外、ずっとカメラを回し続けていました。日本メディアのカメラマンは私だけですから、ミスをしちゃいけない、しっかりと撮影しなければいけないという想いで緊張しっぱなしでした。それなのに、ですよ。インドメディアのカメラマンはメチャクチャ人数がいるのです!

当時はコロナ渦で外国人は一つのホテルに泊まらなければいけなかったのでホテルは総理と同じでした。もちろん超一流ホテルです。しかしです…そこに置かれていた封がしてあった瓶の水を飲んだら、お腹を壊してしまいました。蓋を開けた時に嫌な臭いがしたのですが、一流ホテルだし大丈夫だろうと思ったのが失敗でした…食事はお弁当が出たのですが美味しくなくて…日本から持って行ったカップラーメンでしのぎました。」

帰りの政府専用機内では岸田総理が必ず行っているという嬉しいサプライズが待ち受けていた。

嬉しいツーショット写真は宝物

「日本到着間際になったら、岸田総理が出てきて一人ひとりと握手をして、ツーショットの記念写真を撮ってくださいました。同行メディアと総理との記念撮影は必ず行われているようなのですが、とても光栄でした。きちんとプリントアウトしてくれたものをいただいて大切に保管しています。」

配信撮影が増えてきている今、スイッチング技術も磨きたい

「最近は配信動画の撮影が増えてきていて、スイッチング技術を持ったカメラマンが求められています。今後はただ撮るだけではなく、制作に関わる技術を身に付けたいと思っています。いつまでも求められる存在としてあり続けたいですね。」

※1 ケビン・デュラント … アメリカ合衆国ワシントンD.C.出身のプロバスケットボール選手。NBAのフェニックス・サンズ所属。ポジションはスモールフォワードまたはパワーフォワード。NBA史上最高の選手の1人として数えられる。
※2 記者が搭乗する際は政府専用機使用料(運賃)を支払っています。

高橋 晋

技術センター 制作技術部コンテンツ技術グループ SWCAM
2006年入社。情報番組やバラエティ番組の経験を経て、2015年からフジテレビ報道局に常駐。事件事故の発生時に報道記者とともに現場に急行する報道カメラマン業務や、国会記者会館常駐などフジテレビニュース取材の最前線を担う。
(2023年11月取材)